体感寿命について

ここでは、皆さんが興味をお持ちであろう「体感寿命」の数学的な導出過程をご紹介します。

実は、「人生の体感経過率」の延長線上の導出になるため、先にそちらを見られることをお勧めします。

体感時間の長さを「y(年)」、現在の年齢を「x(歳)」とすると

y = q / x

と表すことができ、qが定数であるというところまでは「人生の体感経過率」の導出過程にて導けました。

今回は、あなたの”今の時間感覚での1年間”を基準に、今後の体感寿命を計算しようとしています。

ということで、今の年齢をc歳とすると、x = c歳の時に「y = 1年」となって欲しいので

y = q / x
1 = q / c
q = c

となります。

したがって今回は、今の年齢cを用いて体感時間の長さy(年)は

y = c / x

と表せることになります。


さて、今c歳のあなたがd歳まで生きるとすると、通常の寿命計算では 「d - c年 生きれる」ということになります。

対して、体感寿命L("体感余命"の方が齟齬がないかも知れません)の場合は、

L = ∫[c→d] (c/x)dx
L = c * { ∫[c→d] (1/x)dx }
L = c * { ln(d) - ln(c) }
L = c * ln(d/c)

となり、これを計算することで「体感寿命」を算出することができます。




実は、面白いのはここから

先ほどまでの話から、現在の年齢をc歳とし、d歳まで生きるとすると、

通常の余命L'(年)は

L' = d - c

となり、体感の余命L(年)は

L = c * ln(d/c)

となるのでした。

現在の年齢は人により様々ですので、定数cではなく変数xにすると

L' = d - x
L = x * ln(d/x)

となります。

ここで、我々はd = 100歳まで生きると仮定します。すると

L' = 100 - x
L = x * ln(100/x)

となることがわかります。

このグラフを、作ってみるとどうなるでしょうか。

Image from Gyazo

ご覧のように、例えば通常の寿命L'は、20歳の時に残り80年となります。

対して、体感寿命Lは、20歳の時に残り寿命32年となったのち、57歳頃で再び残り寿命32歳となります。
これは、何が起こっているんでしょうか?

解決のキモは、「”現在の年齢における体感時間”を元に余命を算出している」というところにあります。

20歳の頃は、若いことで「1年の体感時間が長く」なり、体感余命が短くなる傾向に、

57歳の頃は、年齢を重ねたことで「1年の体感時間が短く」なり、体感余命が長くなる傾向に(とはいえ通常の余命より長くなることはない)、

という具合に算出されることがわかります。



「37歳」が若さのターニングポイント?

昨今、人生100年時代と言われますが、仮に100歳まで生きると仮定するならば、 37歳が若さのターニングポイントと言えるかも知れません。

というのも、先ほどのグラフにおいて、体感寿命は37歳を境に

「体感時間の"長さ"が優勢な年齢」から「体感時間の"短さ"が優勢な年齢」へと切り替わるためです。

とはいうものの、体感時間は「脳に新たな刺激を入れ続ける(新しい挑戦・環境に身を置くなど)」 ことで長くなるとも言われているので、年齢に抗いながら体感時間を長くしていきたいものですね。

toy car